赤字と黒字のダイレクト自動車保険

2016年4月、アメリカンホームダイレクトが新規の申込み受付を終了(事実上の撤退)となるニュースがあった。
ダイレクト自動車保険は1年契約が基本となるうえ、貯蓄性の要素はないため、仮に撤退したとしても、契約者に大きな不利益はないが、アメリカンホームの場合、営業時間を大幅に縮小したり、事故対応拠点を縮小したりと、引続き契約しつづけるには不安が残る また、保険会社を変えようとしても、条件によっては新規加入が難しいこともある。
このため、自動車保険とはいえ、ある程度はその会社の財務状況・収益性をチェックしておいたほうがいい。
ダイレクト自動車保険各社の収益の状況をチェックするには、「コンバインド・レシオ」という指標がある。

損害率とは

契約者から受け取る保険料に対して、事故で支払われた保険金やその損害調査の経費など、出て行ったお金がどのくらいの割合になるかを示した数値。

契約者から受け取る保険料に対して、会社の広告宣伝費や社員の人件費、経費がどのくらいの割合になるかを示した数値。

コンバインドレシオとは

「損害率(%)」+「事業費率(%)」の合計(%)の数値。
ざっくりいえば合算値が100%を超えると赤字、下回れば黒字ということである。

ダイレクト自動車保険各社のコンバインドレシオの比較

2014年度のダイレクト自動車保険各社の損害率、事業費率、そしてその合算値であるコンバインドレシオを比較してみる。
                                  
会社名 損害率 事業費率コンバインドレシオ
チューリッヒ 66.6% 32.9%87.7%
アクサダイレクト 63.8% 20.0%83.8%
アメリカンホーム 60.2% 37.9% 98.1%
ソニー損保 60.2% 27.5% 87.7%
三井ダイレクト 78.6% 23.0% 101.6%
そんぽ24 63.9% 34.0% 97.9%
SBI損保 78.3% 20.9% 99.2%
イーデザイン損保 64.6% 44.2% 108.8%
セゾン(おとなの自動車保険) 62.9% 55.6% 118.5%
参考:東京海上日動 61.1% 30.5% 91.5%
参考:損保ジャパン 63.5% 31.4% 94.9%

ダイレクト各社の概況はいくつかに分類できる。

・ソニー損保、アクサダイレクト
損害率も一般的なレベルで、事業費率もテレビCMなどの広告宣伝活動が活発な割に20%台によくコントロールされていて、健全に利益が出ている。
2社とも契約ボリュームが大きくなってきているので、広告宣伝費をかけても、さほど大きな事業費圧迫要素にはなっていないのだろう。
ただ、アクサダイレクトの事業費率の20.0%というのは、肝心の事故処理体制などのコストまで必要以上に抑えていないのか気になるところだ。


・アメホ、チューリッヒ、そんぽ24
3社とも似たような損害率と事業費率でギリギリ100%を切っている状態。
共通しているのが契約の伸びも頭打ちしている状態ということ。
契約を増やそうとテレビCMをこれ以上増やせば、一気に赤字転落だし、比較サイトだけで集客できるほど保険料は安くない。
手詰まり感があり、アメホが撤退したのも理解できる。


・三井ダイレクト、SBI損保
2社とも100%前後のギリギリの状態。
異様に損害率が高い。要因として次のようなことが考えられる。
-保険料が安すぎる(リスクに見合っていない)
-客層が悪い
-保険金査定が甘すぎる(ザル)
今後、保険料を値上げすることが必要になると思うが、そうすると比較サイト経由での集客力に影響が出るので、なかなかそうも行かないのだろう。

事業費率も異様に低い。これも、次のことが考えられる。
-比較サイト経由での募集に注力し、テレビCMなどは抑えている。
-事故処理などのサポートコストを抑えている(「保険金支払いがザル」というにもつながる)
事故処理などのサポートコストを必要以上に抑えれば、契約者の満足度が下がり継続率が低下する上、悪い口コミが拡がるリスクもあるので、削るべきではないと思う。


・イーデザイン、セゾン
損害率は同レベルなのだが、事業費率が高すぎる。
-自社の体力以上の広告宣伝費をかけている
赤字を垂れ流しながらでも規模の拡大を狙っていることが可能性として考えられるが、どこかでこの累積赤字を回収しなければならなくなるだろう。




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