事故直後の現場急行サービスと面談訪問サービス

事故を起こしたとき、代理店型の保険会社に加入していたなら、代理店が事故現場に駆けつけてくれることがある。(ただしすべての代理店ではない) 実際には、代理店型の保険会社(東京海上日動や損保ジャパンなど)も現場に代理店が駆けつけることは割合的には多くないのだが、漠然と「代理店さんが現場に来てくれるものだ」と思い込んでいる人が多い。(保険会社の社員は代理店型でも現場急行しない) そんな理由でダイレクト自動車保険(ネット損保)に加入する際、不安を感じるのは「事故のときに現場に駆けつけてくれるのか?」ということではないだろうか。

そのダイレクト自動車保険の不安を解消する目的で、ダイレクト自動車保険各社は「現場急行サービス」といったサービスを提供している。
これは「事故直後に事故現場に警備会社の警備員が駆けつける」というもの。

注意しておきたいのは、現場に駆けつけるのは、保険会社の代理店の従業員でもなく、保険会社の社員でもなく、あくまでもセコムやALSOKなどの警備会社の警備員ということだ。彼らに現場での決裁権はないので、できることはかなり限られた範囲のものである。

例えば
・警察への届け出サポート
・救急車の手配
・レッカーやタクシーの手配
・事故現場や事故車両の写真撮影
・事故の相手方へのヒヤリング
などである。

警察への届け出や救急車の手配は、保険会社や警備会社のサポートを待つことなく、事故直後に最初に事故当事者がやることなので、実際には警備員が到着してから警察に連絡するということはまずいないだろう。

この現場急行サービスの提供サービスの中で勝ちがあるのは「事故現場や事故車両の写真撮影」と「相手方へのヒヤリング」である。

事故現場の写真や事故車両の損傷状況の写真を事故直後に撮影しておくことは、あとあとの交渉で自分に有利に働く材料になることもある。

こういったサービスは代理店型の自動車保険(東京海上や損保ジャパンなど)ではやっていないため、ネット損保の自動車保険のほうが事故直後のサービスは手厚いといえる。
ダイレクト自動車保険会社の「現場急行サービス」のスペックを調べて比較してみた。

事故直後の現場急行サービスの比較

2018年7月調べ
会社名 現場急行サービスの対象 誰が来てくれる?
チューリッヒ ✕現場急行サービスなし ✕現場急行サービスなし
アクサダイレクト ✕現場急行サービスなし ✕現場急行サービスなし
ソニー損保 顧客が要望した事故 セコムの警備員
イーデザイン損保 顧客が要望した事故 セコムの警備員
三井ダイレクト ✕現場急行サービスなし ✕現場急行サービスなし
SBI損保 ✕現場急行サービスなし ✕現場急行サービスなし
セゾン(おとなの自動車保険) 顧客が要望した事故 ALSOKの警備員

ソニー損保とイーデザイン損保はセコムと提携。セゾンはALSOKと提携して現場急行サービスを提供している。

一方、チューリッヒ、アクサダイレクト、三井ダイレクト、SBI損保は現場急行サービスを提供していない。

警備員が現場に駆けつけてくれても、相手方との賠償関係の話はできないが、現場の写真撮影や相手方と話をしてくれるのは心強い。
この現場急行サービスの有無はネット自動車保険選びの重要なポイントの1つといってもいいのではないだろうか。

もう1つ、事故直後ではなく、相手方が入院するような事故の場合に、契約者面談をして今後の流れなどを専門スタッフや提携会社のスタッフが説明する「面談訪問サービス」というものがある。
これは事故直後に現場に駆けつけるわけではない。

たとえばチューリッヒのサービスはこんな内容だ。

スタッフがお客様のご自宅を訪問し、事故解決までの手続きに関する説明やアドバイスなど初期時のサポートをいたします。
・スタッフ訪問サービスの対象は、対人事故において相手方が入院、死亡された場合になります。
・面談可能時間は午前9時から午後8時までです。
・本サービスでは当社提携会社の社員がお伺いします。
・土日・祝日でも訪問いたします。

要は、提携業者が、一般論としての事故対応の流れを説明しにくるというものだ。

保険会社の社員でもないし、代理店でもない。もちろん事故担当者でもないので、当たり障りのない一般論を説明するだけだろう。

一般論でもいいので、対面で誰かと話をしたいという心配性の方にはニーズがあるサービスなのかもしれない。

事故直後の面談訪問サービスの比較

2018年7月調べ
会社名 面談訪問サービスの対象 誰が来てくれる? 何をしてくれる?
チューリッヒ 相手方が入院、死亡した事故 提携業者のスタッフ 今後の流れの説明・アドバイス
アクサダイレクト 相手方が入院、死亡した事故 専門の面談担当者 今後の流れの説明・アドバイス
ソニー損保 相手方が入院、死亡した事故
・面談が必要と判断した事故
提携業者のスタッフ 今後の流れの説明・アドバイス
イーデザイン損保 ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし
三井ダイレクト 相手方や自分・同乗者が入院した事故 不明 不明
SBI損保 ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし
セゾン自動車火災 ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし ✕面談サービスなし

ALSOKやセコムなどの警備会社による「現場急行サービス」を提供していない会社が、面談訪問サービスを提供していることが多いことがわかる。
例外的にソニー損保は、セコム駆けつけを提供しているうえに、この「面談訪問サービス」も提供している。


ただし、そもそも入院事案や死亡事案は、提携業者ではなく、保険会社の事案担当者の社員が面談訪問すべきだろう。
その意味で、このサービスの有無よりも、「事故処理拠点の数」のほうが自動車保険選びの視点としては重要だと思う。


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